危篤〜臨終(遺族)

−急死したときに注意することは?
●自宅で死亡のときは医師に連絡を
   急に自宅で倒れ,医師に知らせる間もなく死亡した場合は,まず病院に連絡をとります。この場合,何科でもいいですから,とにかく医師に診てもらうことです。病院がわからない場合は警察で聞くこともできます。
   この際注意しなければならないことは,遺体に手を触れないことです。医師が来て指示を出すまではそのままにしておきます。ほどこす処置も医師の許可が出てから行います。
   駆けつけた医師は遺体の検視を行いますが,死因に異常がなければ遺体の処置の許可がでます。異常があるときは変死とされ,警察によって行政解剖に回されます。
●事故死の場合は状況によって検視が行われる
   交通事故などの事故死の場合は,死亡のケースによって検視が行われます。
   事故にあって,病院に運ばれたあとに亡くなった場合は,病気による自然死と同じあつかいになり,検視は行われません。事故の現場で死亡した場合は警察医によって検視が行われ,死体検案書が作成されます。死亡届はその死体検案書をもらってから提出します。
   事故にあった場合は,まず警察に連絡をします。警察が到着して検視が行われるまでは遺体には手をふれてはいけません。検視の結果,解剖が必要な場合は,警察によって病院へ運ばれ,死因を確かめます。自宅へ返されるのは,通常その日のうちですが,病院へ運ばれた時間や日曜・祝祭日がかかったときは多少日が延びます。
●遠隔地での死亡は荼毘に付してから
   旅行や仕事などで遠隔地で事故や病気にあって死亡した場合は,現地で荼毘に付すのが一般的です。身内のものが現地に赴き,病院や火葬場内の施設で通夜を行い,死後二十四時間経ってから荼毘に付し,遺骨にして持ち帰ります。
   遺体を運ぶこともできますが,運搬する際の遺体の損傷や費用などを考慮することも必要です。どうしても遺体を持ち帰りたいときは,自家用の車でも可能ですが,一般的には葬儀社に依頼します。
●伝染病の場合はすぐに火葬する
   腸チフス,パラチフス,コレラ,赤痢(疫痢も含む)ジフテリア,発疹チフス,痘瘡,しょうこう熱, 流行性脳脊髄膜炎,ペスト,日本脳炎の十一の病気が法定伝染病に指定されています。死亡の原因がこれらの病気の場合は,遺体は自宅に帰すことは難しいでしょう。市区町村の役場から許可が下りれば可能ですが,他人への迷惑も配慮して遺骨で持ち帰るほうがよいでしょう。

−訃報を知らせる範囲とタイミングは?
●まず近親書や親族に連絡を
   葬儀の日取りを決める前に故人の死亡を知らせていない親族や近親者に連絡をします。危篤の際に知らせた人でも臨終に間に合わなかったり,危篤の連絡で駆けつけた人が帰ったあとに死亡した場合は,それらの人たちにも知らせます。
   遠く離れていて危篤の連絡が間に合わなかった家族には,いきなり死亡の連絡ではショックが大きいでしょうから,まず危篤の電報を打ち,それから連絡をするようにします。
●友人知人,勤務先や取引先にも連絡を
   故人と親しかった友人や知人,勤務先や取引先,学校や関係団体などへも連絡します。連絡の際は,死亡日時のほかに,生前のおつきあいを感謝するとともに逝去による迷惑を詫びることも忘れずに述べたいものです。
   電話で連絡がつかない場合は電報を利用するとよいでしょう。電話と同様に故人の氏名,死亡日時,通夜や葬儀の日時や場所などをしっかり伝える電文にします。
●近隣の人たちや町内会,自治会へも連絡をする
   故人と親しかった近隣の人たちへの連絡はもちろん行いますが,自宅で通夜や葬儀を行う場合はさまざまな影響を近隣周辺に及ぼすことになりますから,町内会や自治会などへも知らせます。また遺族の勤務先や学校,ごく親しい人たちにも知らせます。
●知らせは分担して行う
   肉親を亡くした家族は気が動転していますから,訃報は親族や友人が分担して行います。連絡は電話でよいでしょう。喪家との関係を述べ,「○○○様がお亡くなりになりました。通夜と葬儀は・・・」と簡潔に伝えます。故人の氏名や死亡日時と死亡場所,死因,通夜と葬儀の日時と場所などが連絡の内容になりますが,これらの通知事項はあらかじめメモしておくと間違いがありません。また,通夜や葬儀を手伝ってもらいたい人にはそのこともお願いします。

献体は葬儀のあとに。移植の場合は早く連絡を
   献体や移植は,生前に故人が登録を行っている場合に行われますが,今日では遺族の意志によって行われることもあります。献体は故人が指定した病院や加盟していた団体がある場合には,そこに連絡を。また死亡が確認されたときに医師に申し出ても手続きを行えます。
   遺体は,葬儀を終えてから献体先の病院へ運ばれますが,遺体が戻るのに半年から一年かかるのが普通です。
   移植の場合は摘出時間に限りがありますので,連絡はできる限り早く行います。連絡を受けたら,昼夜の別なく,医師が駆けつける体制になっています。