危篤〜臨終(弔問者)

−危篤・訃報に接したときの心得は?
●危篤の知らせがあったらすぐに駆けつける
   危篤は急を要する場合ですから,そのままの服装ですぐに駆けつけるのが礼にかなう行為です。仕事中でも上司や相手先に事情を話して急行します。
   この場合,見舞金や品などを用意していくのは不自然で,かえって失礼にあたります。
●離れた地域からの危篤の知らせには喪服の用意を
   遠く離れた所に住む人が危篤の場合,万一に備えて喪服を用意しますが,目立たないように持参し,ホテルのクロークや駅のロッカーに預けておきます。
   ぞうりや靴,数珠などの小物は忘れやすいですから,準備も落ち着いて行いましょう。
●訃報が届いたら近親者はすぐに駆けつける
   すぐに喪家へ駆けつけ,故人と対面します。服装は地味なものなら普段着でもかまいません。香典も不要です。何よりも一刻も早く着くことが重要ですが,喪家に残って,葬儀まで手伝う場合は喪服の用意もしておきます。
   遠隔地の場合は,駆けつけるまでに時間がかかりますから,弔電を打ってから出発を。本人が不在中に打電する場合は,本人に意向を確かめて本人名で打電します。
●遺族から直接通知があった友人・知人は急行する
   友人・知人で,遺族から直接通知があるということは,とても親しい間柄ということになりますから,近親者と同じようにすぐに駆けつけます。
   どうしてもすぐに駆けつけられない場合や本人が不在のときは,弔電をすぐに打ちます。本人が不在でも家族ぐるみでのおつき合いがある場合は,代理人が弔問してもよいでしょう。
●親しくしている近隣の訃報にはすぐに弔問を
   近隣のなかでもとくに親しくしている場合は,すぐに弔問します。また手が足りるかどうか,近所としての手伝いを申し出ます。通夜の準備や什器の調達など,具体的に申し出ると頼む側にとっては助かります。
   そのような親しい間柄でない場合は,玄関で弔意を伝え,あとは通夜や葬儀に弔問するようにします。忙しいときに長居やていねいなあいさつはかえって失礼になります。
●職場に訃報が入ったら,葬儀の日時なども尋ねる
   訃報を受けた人は,弔意を伝えると同時に葬儀の日時や場所・形式なども尋ねます。決定していないときは,決定次第知らせてもらうようにします。まず親しい同僚あるいは担当部署の人が代表として弔問します。職場での交友関係は遺族にはわからないのが普通ですから,訃報を受けた人は,知らせたほうがよさそうな先に連絡します。

−手伝いを申し出たいときは?
●近親者でも遺族の方針に沿って手伝う
   葬儀に関しては,身内のなかで意見が対立することがよくありますが,住んでいる地域や人間関係,宗教によって形式や方針が違いますので,遺族の意向を尊重して協力する立場をとるようにします。
●細かいことは世話役に聞く
   遺族の葬儀に関する基本方針を理解するとともに,故人の生き方や遺志などと照らし合わせて準備します。細かいことは喪主に聞くのではなく,世話役代表や葬儀委員長などと相談するなり,指示を仰ぎます。
●弔問客を遺族に紹介する
   故人の交友関係で遺族が面識がない場合などは,友人や職場関係の人たちが,弔問客を遺族に紹介して,どのようなつきあいのあった人なのかを知らせるようにすると,故人のことを改めて理解でき,弔問客にも遺族側の心づかいが伝わるでしょう。
●借りたものはメモしておく
   近所の家から借りたものはメモしておき,葬儀後に間違いなく返却します。また,そのような協力があったことを遺族に伝えることも忘れないように。買物を頼まれたら領収書やレシートをもらい,会計係に渡し間違いのないようにします。
●職場関係者は喪家の事情に明るい人を責任者に
   遺族から職場関係者に手伝いを頼まれる例はよくありますが,この場合は,喪家の事情をよく知っている人に責任者になってもらい,その人が遺族と打ち合わせを行い,手伝う範囲や内容などを確認します。故人の交友関係などから会葬者数を予測し,手伝う人員を割り出し,気働きのある人などを選んでグループをつくります。この場合も,遺族の基本方針や世話役代表か葬儀委員長の指示に従うことは言うまでもありません。
●若い遺族の場合には準備などを教える
   しきたりなどを重んじる地域では,手伝い方が慣例化していることもありますが,喪家の状況からみて,それらの習慣をそのまま行っていいかどうか問題になる場合もあるでしょう。しかし遺族が若い人で,葬儀も初めてで慣れていないという場合は,通夜ぶるまいなどもわからず,近親者をはじめ手伝いの人たちがおなかをすかせるという例がよく見られます。このような場合は親しい人が,最低の準備などを教えてあげるのが親切でしょう。
●準備の段階ではふだん着で十分
   手伝う場合の服装は,準備の段階では動きやすいふだん着で十分ですが,通夜以降は,接客の手伝いなどの人は,準喪服や略喪服で。裏方を務めるひとは,黒やグレーなどの地味な服装にします。