危篤〜臨終(弔問者)

−どんなときに弔問を遠慮する?
●間近に慶事をひかえているとき
   本来,弔事は慶事に優先するものですが,身内の慶事が数日後にひかえているときなどは,遺族の悲しみを増すことにもなりがちですので,遠慮したほうがよいこともあります。ただ通夜や葬儀には必ず参列します。
   知人の慶事の予定がある場合は,弔問することも,慶事への出席もさしつかえありません。ただし弔問先で出席予定の慶事の話をしたり,慶事の場で弔事の話題を持ち出すことはタブーですから気をつけましょう。
●弔問することで遺族がいっそう悲しむ場合
   例えば,こどもを亡くした親の前に同じ年かっこうの人が弔問することは,親の悲しみや嘆きを増幅させることになりがちです。このような場合も弔問はひかえ,通夜や葬儀に参列するようにします。
●急死で事情がわかりにくい場合
   事故死や変死などの場合は,第三者のすぐの弔問はひかえたほうがよいでしょう。近親者であれば,すぐに駆けつけて遺族を励ますことも必要でしょうが,事故死や自殺などのときは,密葬だけですませることもありますから,遺族の気持ちをくんで連絡がなければひかえます。

−通夜前の弔問の服装と弔問のしかたは?
●とくに服装を改める必要はありません
   急行することがまず第一ですから,とくに改まった服装にする必要はありません。普通の外出着で十分です。とりあえずの弔問なら多少のカジュアルな装いでも,地味なものならかまいません。
   この場合に喪服などで駆けつけるとあらかじめ用意していた印象を与え,かえって失礼になります。ただし地味に装うように心配りしてください。
   女性は,アクセサリー類ははずします。男性は,ビジネススーツやジャケットなどで十分です。ネクタイは地味な無地のものに変えます。
●とりあえずの弔問には香典や供物は持参しない
   通常は,玄関先で取り次ぎの人にお悔やみを述べ,できるだけ早く辞します。上がることを勧められたら,お参りをし,場合によっては遺体に対面します。この際も長居せず,改めて出直すことを伝えて退きます。
   香典や供物はとりあえずの弔問には持参しません。通夜や葬儀の際にもっていきます。ただし枕飾りとして,親しい人や近親者が故人の好きだったものを持参するのはさしつかえありません。

−こちらから対面を申し出てもよいのか?
●遺族からの申し出があった場合だけにする
   故人ととくに親しい間柄だった人には遺族から対面を勧められることがあります。そのときは謹んで対面しますが,それ以外は申し出ないのが礼儀です。
   対面するときは合掌して,ていねいに拝礼しますが,手を出して遺体に触れるようなことは慎みましょう。また対面も短い時間で切り上げるようにします。
●対面後は不必要なことを長々と話さない
   遺体と対面したあとに,死因や病気のことなど長々と質問することは慎みましょう。「安らかに眠っているようなお顔ですね」とか「きれいなお顔ですね」などぐらいの感想にとどめ,不謹慎な冗談などは決して言わないようにします。
●枕飾りが整っていたら,線香をあげる
   仏式の場合,線香の本数は,宗派によって一本,ニ本,あるいは一本を二つに折るなどさまざまですが,死亡時は一本がしきたりです。ろうそくの灯で点火し,線香の灯は手であおぐか,あるいは手にもったまま下にスッと引いて消します。まちがっても息で吹き消したり,線香を振ったりしてはいけません。