葬のマナー

通夜(弔問者)

−供花,供物を贈るには?
●遅くとも葬儀の五時間前には届くように手配
   供花は,祭壇などを整える関係から,通夜前,また遅くとも葬儀の五時間前には届くように早めに手配をします。団体や公的立場親しい関係者は祭壇を飾り立てるうえでも供花を贈りますが,花輪がいいか,生花あるいはほかの供物がいいか,遺族の意向をたずねるのが心づかいです。あるいは世話役代表に一任してもいいでしょう。注文すれば葬儀社のほうで,全体のバランスを考慮して整えてくれます。
   供物は,仏式の場合はろうそくや線香,干菓子あるいは果物。神式では干菓子,果物,酒などで,線香などは供えません。キリスト教式や無宗教の葬儀では,生花以外は贈らないように。とくに教会は造花は飾りません。

−通夜見舞いには,何を届ければいい?
●寿司桶やお惣菜など手軽なものが喜ばれる
   通夜見舞いは,親戚など故人と親しかった人たちが,酒食を持参し,遺族に協力するものです。形式ばる必要はなく,寿司桶,つまみもの,サンドイッチ,酒,菓子などのようなものにします。また,金包みなどにするのもかえってよいかもしれません。所によっては「お明かし料」などとして現金を包むしきたりもあります。

−通夜ぶるまいの受け方は?
●近親者や親しい友人・知人は席に着く
   通夜が終わると親族やごく親しい友人知人は別室で故人を偲んで小宴を開きます。この席には,故人とあまり親しくない一般の弔問客は出席しないのが礼儀です。
   とくに葬儀に参列できないために通夜に弔問した場合や代理で弔問したようなときは辞退したほうがよいでしょう。宴席に移る前に辞去しますが,引き止められたら席に出て,ひと口でも箸をつけるのがマナーです。
   友人や知人間の話がはずむこともありますが,故人と関係のない話は控えます。また,通夜ぶるまいは宴会ではありませんから,大声を出して騒いだりするのはマナー違反です。

−退席のタイミングは?
●一時間ほどで切り上げる
   世話役代表が退席のきっかけをつくるようにあいさつをします。あいさつがなくても,九時ごろには帰るのが礼儀です。長居するのはむしろ迷惑になります。
   一般客は,頃合いを見て少人数ずつ失礼するのが,ふるまいを受けた側の心づかいです。僧侶などが同席している場合は,僧侶が退席してから折を見て,近くの人に声をかけて静かに席を立ちます。退席する前に祭壇に参ることも忘れないように。

−通夜に代理人を立てる場合は?
●近親者で通夜に出席できないときは代理人を立てる
   本来通夜に列席する立場にある近親者などが都合で通夜に出席できない場合は,配偶者や子,兄弟姉妹などを代理人として弔問させます。この場合,本人は葬儀・告別式には出席するようにしなければなりませんが,それにも不都合なときは,このときも代理人を立てることになり,香典などは代理人が持参します。公的な関係で通夜に出席すべき人が都合で弔問できないときも,代理人を立てるのがエチケットです。
   病気などで出席できない場合を除いて,後日改めて本人がお悔やみに伺うか,手紙を出すようにします。
●代理人はくどくどと弁解のあいさつをしない
   代理人として通夜に出席した場合は,代理の理由をくどくどと述べる必要はありません。簡単に次のようなあいさつにしておくとよいでしょう。
   「このたびは,ご愁傷さまでございます。本来なら○○が伺うところでございますが,あいにく入院中(出張中)でございますので,私がごあいさつに伺いました。このような大切なときに申し訳ないと申しておりました」