葬儀の後始末

−香典返しは,いつ,どれくらいのものを?
●忌明けを目安にする
   忌明けは,仏式ではふつう四十九日ですが,繰り上げて三十五日とすることもあります。神式では,五十日祭,あるいは三十日祭を忌明けとします。忌明けを迎えたら通常の生活に戻るわけで,あいさつ状とともに香典返しを行います。
   キリスト教では,忌明けという観念はありませんが,日本では一か月目の召天祭に埋葬をすませた際,故人を記念する品を贈るケースが多くあります。
●一般に香典返しは「半返し」
   ふつう,いただいた香典の三分の一 〜半額くらいの品を選んでお返しします。一家の働き手が亡くなった場合は,香典の三分の一程度でよいとされています。一定の品物を一律に返すこともありますし,金額にあまりこだわらなくてもよいでしょう。
   香典返しは,一人一人に香典の半額の品を選ぶのは,大変な労力となります。そこでお礼の気持ちということで,いただいた金額に関係なく,何段階かに分けて一律に同じ品を選ぶことが多くなっています。例えば,五千円までの香典は二千円の品を,一万円までは五千円というようにおよそ振り分ければよいでしょう。

−香典返しの好適品は?
●日用品が多く選ばれる
   香典返しの品としては日用品が無難です。最近はシャディのアズユーライクなどもよく使われます。会社や,グループなどから香典を頂いた場合は,共同で使えるとか皆で分けられるようなものを選び,たとえば菓子やお茶などにするとよいでしょう。
   香典返しの品には,それぞれのいわれがあります。
お茶 お茶を飲んで,故人を偲ぶというところから用いられています。
シーツ・タオル類 仏式では,仏の世界へ白装束で旅立つために,さらしが利用されていました。シーツなどもその名残りです。
砂糖 仏の世界へ白装束で旅立つという意味で利用されるとともに,消耗品というところから,相手に不幸が及ぶのを消滅させるという意味も含んでいます。
家庭用金物類 むかしから金物は光るものとして,魔よけに用いられてきました。そのようなところからステンレスやアルミ,銅製品を贈るようになっています。
石けん 不幸を洗い流すという意味を含み,また実用品として贈っても喜ばれています。
陶器 昔は死んだ後,土に埋葬されていました。そういうところから,人間は土に帰るという意味を含めて,陶器が利用されています。
漆器 不幸を塗りつぶすという意味と,二度と不幸がないように色直しをする,というところから利用されることが多いようです。
 
−香典返しの表書き,挨拶状は?
●表書きは各宗教で異なる
   のし紙は黒白あるいは黄白の結び切りで,一般には「志」とし,水引きの下に喪家の姓を書きます。戒名などをつけるときは,短冊に書いて左肩に貼ります。
   表書きも宗教で異なり,仏式では「忌明け」「満中陰志」「粗供養」などとも書き,神式では「今日志」あるいは「偲び草」,キリスト教式では「偲び草」「召天記念」などと記します。
●喪主を差出人としたお礼と忌明けのあいさつ状を添える
   香典返しは,喪主を差出人名にしたあいさつ状を添えるのが一般的です。ただし,喪主以外の遺族が本人の関係者にお返しをする場合,ひと言添え書きをするか,別に礼状を出すようにするとていねいです。それは,差出人名が喪主ですから,誰からかわからないことがあるからです。その場合,伝票の差出人名を遺族の名にしてもよいでしょう。