−お食い初め,初正月の祝い方は?
●一生食べものに困らないようにと願いを込めて
初めて子供にご飯を食べさせる行事がお食い初めです。別名「箸初め」とか「箸揃え」,「歯固め」とも呼ばれ,子供が一生食べものに困らないようにという願いが込められています。
地方によって変わりますが,お食い初めは,だいたい生後百日目くらいに行われることが多いようです。この日には,ご飯茶碗と汁碗,皿,湯飲みや箸などをお膳に乗せ,お赤飯や尾頭付きの鯛,香のものやすまし汁などの祝い膳を調えます。この膳に小石を三つ乗せた小皿を置いて,丈夫な歯が生えるように祈る風習もあるようです。しきたりでは,近親者のなかでも長寿の方や年長の女性が,ひと粒でも成人と同じものを食べさせることになっています。
正式なお祝いの食器は素焼きのものや漆器などですが,最近では離乳食に使うプラスチックなどの食器が多く使われているようです。料理も,尾頭付きや赤飯でなく,離乳食を揃えるのもいいかもしれません。
この行事も内輪だけで行えばいいので,せいぜい双方の祖父母を招くぐらいにして子供の成長ぶりを披露しましょう。
−初節句のお祝いはどのように?
●節句にちなんだ手料理でおもてなしを
子供が初めて節句を迎える初節句(男児は五月五日の端午の節句,女児は三月三日の雛祭り)は,子供が育ちにくかった時代にはひとつの節目とされ,一族で祝い合ったものです。
もともとは,女子には母方の実家から内裏雛や雛人形セットを,男子には一般的に鯉のぼりや武具飾り,武者人形などを贈る習慣がありました。ですが,いまはどちらの実家も同じ関係,同じ立場です。祖父母ではなく,親の考え方や方針で子供のお祝いごとは行れるべきでしょう。従来のしきたりにこだわらず,子供の親の希望や祝い方をたずね,その方針に沿うことが大切。お祝いを贈るなら節句当日の数か月前〜十日前位までに。
初節句の日には,祖父母やお祝いをくださった方を招待して,父母が会食会を催します。このもてなしがお祝いに対するお礼,お返し,内祝いになります。もてなしは手料理で十分。節句にちなんで,三月の桃の節句なら,ちらし寿司とはまぐりの吸い物,五月の端午の節句なら,粽などを中心に用意すれば良いでしょう。ちなみに,生まれて一〜二か月に初節句を迎える場合は翌年に延ばすほうが無難です。
-初誕生日の祝い方は?
●初めての誕生日には成長の記録を残して
とくに誕生日を祝う風習のなかった日本でも,満一歳を迎える初誕生は,親類などを招いて盛大にお祝いをする習慣が残っています。地方によっては,誕生餅をついて子供に背負わせて歩かせる「力餅」という行事や,餅を踏ませることもあります。
最近は,一本のロウソクを立てたバースデーケーキやごちそうを囲んで家族だけで祝うことが多くなりました。ですが,せっかく初めて迎える誕生日,子供本人にはわからないこととはいえ,父母双方の祖父母など親しい方を招いて,子供の健やかな成長ぶりを披露し,喜びを分かち合うのも楽しいかもしれません。もてなしは手料理の祝い膳程度で十分。体重や身長,手形や足形などの子供の成長ぶりとともに,祝い膳の様子を写真やビデオに収めて記念に残しておきたいものです。
また,最近では広い範囲にわたって派手な内祝いはほとんどしない傾向があるので,親しい方やお世話になっている方たちには,子供の写真を入れたハガキなどであいさつする程度でいいと思われます。どうしてもという場合は,祝いの席に招いたり,お赤飯や祝い砂糖を配りましよう。
十三参りの習慣
かつて,十三歳から十五歳にかけては成年式の行われる年齢でした。この時期は,男女ともに精神的・肉体的に子供から大人へと移行する大切な節目。十三参りは数えで十三歳を迎えた子供が,旧暦の三月十三日に(現在では,四月十三日やその前後の日曜日),知恵と福徳を授けてくれる虚空蔵菩薩にお参りする行事です。また,別名「知恵もらい」とも呼ばれています。
大人として生きていくための知恵を授かるようにお参りするのが十三参りの目的ですが,地方によっては虚空蔵菩薩にはこだわらないところもあるようです。ですから,虚空蔵菩薩を祠っていない寺院などに,十三参りであることを申し出て仏様にお参りしてもかまいません。お寺へのお礼は,白無地の袋に「御供」か「御礼」と表書きして納めるか,祝いの儀として紅白の水引きを使用します。この際,のしはつけません。
お参りには,成長の節目として晴れ着を新調するのも親から子へのお祝いのひとつ。女子ならワンピースなどの洋服か,和服の場合はあまり柄が大きくないものを。着物に慣れていないことも考えて,帯は軽目のものを選びます。華やかな立矢結びや胡蝶,文庫結びなどがふさわしい結び方でしょう。男子の場合は,紺色のスーツなどを一着揃えておくと便利です。
せっかくのお参りですから,父母も同行し,成長していく子供に大人への心構えを話す機会にすることが何よりの贈り物ではないでしょうか。
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