慶事のマナー

−長寿祝いに喜ばれる品は?
●実用品より健康状態や趣味に合わせた品選びを
   かつては還暦の場合,周囲の人たちが贈った赤い頭巾とちゃんちゃんこを着て,赤い座布団に座るしきたりがありました。これは,暦がひとめぐりして赤ちゃんに還るという意味からきているものです。
   しかしながら,いまでは還暦を迎える満六十歳は,赤ちゃんになってのんびりできる年齢ではありません。ですから,お祝いを贈るにしても,ますます若返ってこれからの人生を楽しんでもらえるようなお祝いを選ぶべきでしょう。たとえば,しきたりに近いところでは,明るい色のベストやベレー帽など。このほか,少し派手めのスポーツウェアやゴルフウェア,女性にはピンクのブラウスやセーター,ロ紅,アクセサリー類なども喜ばれそうです。
   注意すべきことは,腕時計や書類カバンなどの仕事や通勤用の勤勉を象徴する実用品を選ばないこと。楽しい余暇の時間を過ごすための衣服や道具など,もっと広い意味で,温泉旅行や音楽会の切符など,余暇の時間そのものをプレゼントするのも一策です。
●古稀以上のお祝いには「ゆとり」を表現した品を
   古稀以上の方には,祝い方にも個人差があります。本人の健康状態や生活環境を考慮したうえで,一般的には,ゆとりにちなんだ品を贈りましょう。茶器や手文庫などの調度品や趣味に合った小物,ステッキや日傘など,少し健康がすぐれない方には肩掛けや寝具,座椅子などが考えられます。また,まだまだ元気で山歩きをしたいという方や釣りを楽しみたいという方もいらっしゃるはず。そんな方には登山帽やベスト,釣り竿やカメラ,バッグなど,趣味に合わせた品を選んで贈ると喜ばれるのではないでしょうか。
   贈る時期は,誕生日か,その当日までに。お祝いの会に招かれている場合は,その席か,それまでに贈るようにしましょう。お祝いの表書きは「御祝」,もしくは「祝古稀」などで,水引は紅白か金銀の蝶結びにします。

−叙勲・受章・受賞を祝う場合は?
●まずは,いち早くお祝いの言葉を
   仕事上での功績や作品が認められ,栄誉のある章や賞を受けるのは,受章(賞)者にとって,人生最大の喜びのひとつ。情報,知らせを受けたら,すぐにお祝いの言葉を届けます。こういう場合,「すぐに」が肝心。祝電を打つか,駆けつけてお祝いを述べます。お祝いに駆けつけるときには,花や酒,祝肴,果物など,祝いの席を賑やかにする品を持参すると喜ばれるでしょう。
   また,電話で祝意を述べるのは,身内や親しい同輩,後輩に限り,目上の人に対しては避けるべきです。電話はあくまで略式の手段ですから,ていねいなあいさつにふさわしいとは言えませんし,祝い客の応待に忙しいときに失礼になります。
   このように,すぐにお祝いするのは,本人と直接交流がある人たちです。友人の連れ合いや子供,親という関係の人の祝いの場合,親しければ祝電を打つのもいいですが,友人あてにお祝いの手紙を出す程度で十分,祝福の気持ちは通じるでしょう。親しい関係の人に対しても,お祝いの時期を逃してしまった場合は,まず,手紙で祝意を述べます。ですが,一段落したころを見計らって,好みや賞の内容にふさわしいお祝いの品を贈ることを忘れずに。

−祝賀会に招かれたら?
●服装は招待主や世話人にたずねたうえで選ぶ
   叙勲や受章にあたって,本人主催の祝賀会に招かれたときは,お祝いの金包を贈るのが一般的です。まだの場合には,当日持参しましょう。会費制のときには,会費がお祝い代わりとなります。ですが,先輩格の人は招待されることも。こういった場合は,会費に見合う額か,それ以上の額のお祝いを贈ります。または,酒や料理,花束などを,世話人に希望を聞いたうえで差し入れ,お祝いに代えるのもいいでしょう。
   気をつけたいのは,服装。時間や場所,立場によって,どの程度の服装にするかが違ってきます。不案内なら招待主や世話人にたずねることです。
   なお,世話人などの労をねぎらうことも忘れないようにしましょう。

 
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