−昇進・栄転を祝う場合は?
●自分から吹聴しないよう心がけて
会社などに勤めていれば,昇進や栄転はつきもの。本人や家族にとっては,このうえなくうれしいものですが,社内にはうらやましく思う人もいないとは限りません。先方から「おめでとう」と声をかけられたときには,「おかげさまで」などとあいさつするのが礼儀ですが,自分からは決して吹聴しないように心がけましょう。
こういったことも踏まえて,派手な宴会などを開くのは避けるべきです。もし祝いの席を設けるなら,昇進や栄転した人の立場や気持ちにもとづいて考えるようにします。社内の上司や同僚が昇進や栄転する場合は,職場の慣例に従うか,内輪の会に留める程度にしましょう。とくに気をつけたいのは,栄転を祝うとき。まわりは栄転だと思っていても,左遷の場合があります。軽はずみに宴会などの準備をしないよう注意が必要です。
お世話になった人が昇進や栄転するときには,記念品や祝い酒などを贈ります。遠くへ赴任する場合には,餞別を。単身赴任なら,一人暮らしに役立つような品物を贈るのも喜ばれるでしょう。
お祝いを受ける立場では,お返しの必要はありませんが,お礼のあいさつ状や転勤先の名産品などを贈ります。
−定年退職を祝う場合は?
●家族は第二の人生を楽しみに思えるような演出で
長い職場生活にピリオドを打ち,人生の大きな節目となる定年退職には,長年の労苦に報い,感謝を込めて祝いたいものです。父親の定年退職に際して,家族は母親にも同様にねぎらいと感謝の気持ちをあらわすようにしたいもの。家族揃って,感謝とねぎらいの会を開いたり,記念にこれからの人生を楽しむような趣味にまつわる品を贈るのもいいでしょう。また,両親に二人水入らずの温泉旅行などを子供たちから贈るのも,うれしいプレゼントです。
職場の人が定年退職する場合は,職場のみんなからねぎらいと無事に勤めあげたことに対して記念の品や趣味のものを贈るといいでしょう。餞別として現金を贈る場合は,「御餞別」と表書きした紅白五本の結び切りの水引で。送別会を開くなら,退職する人の気持ちを引き立てる演出を考えましょう。思い出話も多いでしょうが,暗い話題は避けて新たな人生へのあたたかい励ましの心づかいを大切に。
お世話になった人なら,二〜三週間後くらいのちょっと退屈したころを見計らって訪問してみては。きっと喜ばれることでしょう。
−定年退職後のおつき合いは?
●心が通い合う自然なおつき合いはこれから
ワーカホリック(仕事中毒者)と言われる日本人にとって,定年退職は長年の職務に対する達成感や解放感とともに,一抹の寂しさを感じるもののようです。しかし,長寿社会の現代では,定年からが自分らしく生きることのできる時代とも言われています。定年を迎えたあとも,自分らしく前向きに第二の人生を楽しく過ごしていきたいものです。
退職に際して,職場の人や友人などなら,長い労苦と無事勤めあげたことに対して,ねぎらいとお祝いの気持ちを贈りましょう。また,本人からは,いままでの感謝の気持ちを届けるようにします。
本来,餞別にお返しは必要ありません。少し時期を置いてから,元気で新たな人生を歩み出していることを手紙などで報告すればいいのです。きちんとお礼や感謝の気持ちを伝えたいなら,記念になる品やお酒などを贈ってみてはいかがでしょう。いままでは,仕事上のしがらみや義理があった人たちに対しても,定年後なら自然なつき合いができることもあるはず。むしろ,本当に心の通う自然体のおつき合いができるのはこれからかもしれません。