−結果報告を受けたら?
●断られた側へは相手を傷つけない配慮が必要
紹介者のところには,その日の晩か翌日に,お礼の電話が入ります。早ければそのとき結果が伝えられますが,遅いときでも一週間以内に返事をもらうようにします。
結婚という一生にかかわる大切な問題ですから,迷って返事が遅れるほうが当然だとも考えられます。返事が遅れていても,一週間は催促するのは控えて待つようにします。
〔双方とも交際を望んでいるとき〕
この場合は,「先方も交際を望んでおられるので,おつき合いをお進めください」というように伝え,次回のデートを設定します。あるいは連絡方法を伝えて,本人同士にまかせてもかまいません。
それ以後の交際には,あまり干渉しないのがマナーです。本人たちから相談をもちかけられたときにアドバイスする程度にとどめ,二人の交際をあたたかく見守りましょう。
〔一方だけが交際を望んでいるとき〕
紹介者にとっていちばんつらいのがこのケースです。交際を望んでいる側に断りの返事を伝えるのは気が重いもので,ついつい返事が遅れがちになります。しかし,こういう場合こそ早めに伝えるべきです。期待をもたせたまま返事を遅らせるのは良くありません。
「まことに残念ですが,ご縁がなかったようでございます。わたくしどもの力が及ばず,申し訳ございません」と,紹介者が詫びるかたちで,縁談不成立の旨を伝えます。そして,先方からの断りの理由を伝えるときは,相手を傷つけない配慮が必要です。容貌,体型,身長などの身体的な事柄や父母,家族への不満などは告げるべきではありません。
できれば漠然と,「先様では,釣り合わないと遠慮されておりますので,このたびはなかったことに…」とか「家族が多く,ご苦労をおかけするようになっては申し訳ないとおっしゃっておられます」というように,直接本人にかかわりのない理由をあげるのも一つの方法です。
〔双方から断ってきたとき〕
相手がいくら意に沿わないからといっても,断られて気分のいいはずはありません。したがって双方から断りの返事がきたとしても,相手方も断ってきたことを伝える必要はありません。
「お力になれず残念でした。間違いなく先方に伝えておきますのでご安心ください」という言い方にとどめます。
また,一方あるいは双方が断ってきた場合,ほんとうの理由を聞きだしておくと,紹介者として以後新しい縁談を進める際の参考になるでしょう。
−正式婚約はなぜ必要?
●婚約は社会的意味を持つ結婚への前段階
お見合いであれ恋愛であれ,当人同士がお互いに結婚する意思があることを確かめ合い,結婚の約束を交わすことを婚約と言います。口約束をするだけでも婚約したことになりますが,結婚は恋愛のような個人レベルの問題ではありません。男女ともにそれぞれが親の家庭を離れ,自分たちの家庭を新しく築くという社会的な意味合いを持つのが結婚です。ですから,婚約したという事実を二人だけのことに留めずに周囲にも認知してもらい,祝福を受けるほうがいいでしょう。
●理不尽な婚約解消を避けるためにも社会的認知を
正式な婚約というのは,周囲に知らせ,社会的認知を受けることに意味があります。こういった手続きを踏むことによって二人だけの約束がより確かなものとなり,お互いの自覚が高まって結婚に至るまでの期間も慎重な行動をとるようになると考えられます。
万が一婚約を解消するような結果になったときにも,社会的認知があるとないとでは大きな違いがあります。二人のロ約束だけでは婚約を確認する証拠も証人もいないため,一方が否定すれば婚約の事実を認めてもらえないことがあります。そのため,場合によっては理不尽な婚約解消を承認せざるを得ません。こういった無責任な行動を阻止するためにも,婚約を広く公表して周囲の人たちに認めてもらう必要があるでしょう。
形式にこだわることはありませんが,社会的な立場や生活環境,二人の人生観などを考慮に入れて,自分たちに合った婚約の方法を選ぶようにしたいものです。
●婚約の申し入れには誠意をもって意思確認を
男女が出会い「この人と結婚したい」と思ったら,まず相手の意思を確かめて同意を得ることが第一です。かつては,代理人として多くは仲人が使者の役割を果たしていました。現在では,何よりも当人同士の話し合いによる意思の確認が先決。それが「結婚は両性の合意によってのみ成立する」という法の精神にもふさわしい方法でしょう。
ですから,婚約の申し入れは二人の意思確認のうえで親の承諾を得て,親同士があいさつするという手順で進めるのが自然です。
婚約を申し入れる場合は,はっきりと口に出して結婚の意思を伝えることが大切。申し入れを受けた側は自分も同じ気持ちならすぐ同意してもかまいませんが,まだはっきりとしない場合は迷っている原因を正直に話して返事を待ってもらうように頼むのが誠意でしょう。黙っていては相手に不安や不信感を抱かせてしまうので,諾否いずれにしろ誠意をもって応じるのがマナーです。
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