祭事のマナー
 
−お彼岸には,どんな供養をすればいい?
●春と秋のお彼岸には先祖の供養を
   年に二度,春分の日と秋分の日を中心に,前後三日ずつの合計七日間にわたるお彼岸は仏教行事の一つです。「彼岸」とは仏教用語で向こう岸,つまり仏の世界のこと。春分の日と秋分の日はともに昼と夜の長さが同じで,太陽が真東から出て真西へ沈む日に当たります。このため仏教の西方浄土を思うに適した時期ということで,春分の日と秋分の日を中心に,お彼岸の行事が行われるようになったと言われています。なお,一般的には,春分の日は生物を慈しみ,秋分の日は先祖を偲ぶことを目的に国民の祝祭日になっています。
   寺院などでは読経や法話による彼岸会が開かれるため信徒はもちろん,先祖を祀っている人はこの間に寺院にお参りして供養をしたり,お墓参りをするのがしきたりです。
●お墓参りはまずお墓の掃除から
   もっとも代表的な供養の方法は,やはりお墓参り。墓所の管理事務所などで手桶とほうきを借り,まずお墓のまわりに生えている雑草を抜いて掃除を。墓石にも水をかけ,たわしで苔や汚れを落とします。きれいになったら枯れた花を新しいものに取り替え,ひしゃくで墓石に水を掛けます。このあとでロウソクに火をつけ,線香を立てて水を水鉢に注ぎ,お菓子やフルーツを供えて合掌礼拝します。お参りする順序にとりたてて決まりはありませんが,一般的にはお墓に眠る故人との緑が深い人から順にします。
   寺院の中にお墓がある場合は,お墓だけでなく寺院のほうにも立ち寄ってお参りしたほうがいいでしょう。お経料は必要ありませんが,以前はお米や野菜を納めたものですから,そういった品物に代えて「御供物料」として現金を包みます。のし袋は黄白の水引で。
●仏壇がある場合は親類を招いてお参りを
   仏壇のある家庭では,お彼岸の前に仏壇を掃除して花を生け,毎日お茶か水をあげるようにします。お彼岸中には朝晩灯明をともし,線香を立ててお参りを。また,お彼岸団子やおはぎなどのほか故人の好物を供え,供養します。供養のためにおはぎなどを多めにつくって,近所に配るならわしが残っている地方もあるようです。
   お寺やお墓が遠くてお参りに行けない場合は,自宅に僧侶を招いて読経してもらいます。この際,親類なども招いてお参りできればより供養にふさわしいでしょう。僧侶には「御布施」と「お車料」を包んで渡します。
   仏壇がなくても,親や兄弟姉妹などの身内がすでに故人になっていて,その位牌が親類の家に祀られている場合は,位牌のある家やお墓にお参りを。家へ伺うときにはお供えとして菓子折りやフルーツなどを持参します。お墓へお参りするときには花を供えましょう。

−母の日,父の日の祝い方は?
●母の日には赤いカーネーションで感謝の気持ちを
   母の日と父の日は,いずれもアメリカで生まれ育った記念日。父や母に感謝を捧げる日として世界に広まり,日本ではキリスト教会の働きかけなどによって次第に浸透し,戦後になって普及し,さかんになったようです。
   母の日は,五月の第二日曜日。最初はクリスチャンのアメリカ人女性が自分の母の命日に母の好きだった白いカーネーションを配ったのがきっかけで,一九一四年,この日を正式に母の日として定められることになりました。現在では,母が健在なら赤いカーネーションを贈るのがならわし。花の本数や切り花,鉢植えなどにこだわる必要はありません。自分の予算内で,感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。もちろんカーネーションでなくとも身につけるものやロ紅などの化粧品,アクセサリーや服でもいいと思います。
●父の日には花のほかに趣味のものをプレゼント
   母の日が年々盛んになるのを見てワシントン州のある女性が,妻を亡くしてから男手一つで自分を育ててくれた父に感謝のパーティを開きました。これが父の日の発祥で,一九三六年,現在のとおり六月第三日曜日に定められました。
   この女性が亡父の墓前に白いバラを捧げたことから,父の日のシンボルフラワーはバラ。母の日と同じように花をプレゼントしてもいいですが,趣味のものやスポーツ用品,身につけるネクタイやシャツなどを贈っても喜ばれるでしょう。「父の日カード」も出ています。プレゼントに添えて贈るといいでしょう。ただ,感謝の気持ちをものに託して贈る行為も大切ですが,プレゼントばかりにこだわらず,日ごろの感謝の心を素直に伝えることも考えるようにしたいものです。
●親との父流をいちばんに考えて
   子供たちが幼いうちは,人に感謝する心を教える意味で母の日や父の日にお祝いをするのもいいでしょう。大きくなって自主的に考えられる時期を迎えたら,親は黙って子供の気持ちを受けるべき。どんな形で感謝の心を表されても,大切なのは心から喜ぶことでしょう。
   夫婦としても,それぞれの親に感謝の気持ちを届けるようにします。日頃から欲しがっていたものを贈ったり,食事に招待したり,また映画や音楽会のチケットをプレゼントするなど,どちらの親にも同様に気持ちを表したいもの。とくに子供との交流が少ない父親へは,父子でお酒を汲み交わすなど,心の交流を贈ることもプレゼントになるかもしれません。

 
      
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