危篤〜臨終(遺族)

−通夜ぶるまいの手配,接客の準備は?
●精進料理にこだわらなくてもよい
   故人と親しかった人やお世話になった人たちと飲食をともにしながら,故人を偲ぶのが通夜ぶるまいです。ふるまい方は,地方や家庭によってさまざまです。かつては生臭いものを避けて精進料理がならわしになっていましたが,最近では,それにこだわらないメニューを用意する例が増えています。また仕出し屋,テイクアウトなどを利用するケースも多くなってきました。そのほかに,葬儀社に手配をたのむこともできます。
   また都会地では,通夜ぶるまいを省略し,弔問客に折詰と酒を配るケースもあります。
●手軽につまめるものを盛り合わせにする
   ひとりひとりにお膳を出すのではなく,寿司やサンドイッチ,オードブル,煮物など,弔問客が手軽につまめるようなものを盛り合わせにして,いつでも,誰でもが加われるようにしておくとよいでしょう。
   酒屋へのジュースや酒など飲み物の手配も忘れないようにしておきます。
   通夜ぶるまいのスペースを自宅で確保できない場合は,近くの料亭や座敷などを利用することもできます。そのときは早めに予約を入れて,打ち合わせを十分にすることが必要です。
●一般弔問客の席を別に設ける方法もある
   都会地では,一般弔問客が通夜にも参列する例がふえていますが,座敷に通るのは遠慮されるでしょう。近親者や親しい人たちとは別に,一般の弔問客が帰りがけにちょっと立ち寄れるよう,供養の酒と簡単なつまみを庭先などに用意しておくのも,気がきいた方法かも知れません。
●僧侶や神宮などの同席がエチケット
   司式の僧侶や神官などには,通夜ぶるまいに同席願うのがエチケットです。同席してもらえない場合や通夜ぶるまいのメニューが精進料理でないときは,「お膳料」を「お車代」とは別に現金で包みます。そのとき「お食事を用意すべきところを失礼ではございますが,…」などと,ひと言お詫びの言葉を述べます。

−戒名はつけるもの?
●宗派などの関係で戒名をつけない場合もある
   仏式で葬儀を行う場合は,戒名(法名,法号ともいう)を葬儀までにつけるのが一般的です。どんな戒名がよいかは,故人の年齢や性別,業績などによってちがいますので,先祖の戒名や故人の情報を僧侶に話してつけてもらい,お礼としてお布施を贈ります。
   戒名は宗派や菩提寺によってちがい,菩提寺以外でつけるとトラブルになることがあります。また故人の意志で戒名をつけないで葬儀を行うこともありますから,僧侶につけない旨をよく理解してもらうようにします。

−寺院や斎場で行う場合の準備は?
●寺院を借りる場合は菩提寺に相談を
   ふだんから菩提寺と密なおつきあいがあれば,葬儀についてもさまざまな便宜をはかってもらえますが,菩提寺が遠方の場合は,近くの寺院を菩提寺に紹介してもらうのがいちばんです。会場となる寺院が決まったら,世話役代表と葬儀社が出向き,喪家が用意するもの,葬儀社が手配するもの,寺院で借りれるものなどを確認しておきます。
●神社では弔事は行わない
   自宅が手狭なときや故人の社会的地位や業績などによっては,会場を用意しなければなりません。神社では弔事を行いませんので,葬儀が神式の場合には,自宅かあるいは会場を借りて行うことになります。キリスト教式は教会で行なうのが一般的です。
●斎場を借りる場合は収容人数を確認する
   斎場には,葬儀社など民間で運営しているものと自治体が運営しているものがあります。葬儀社が運営するものは料金が割高ですが,設備や機能面では整っています。自治体の場合は火葬場に併設されているか専用の斎場が多いようです。いずれを借りる場合でも次の点を確認しておくことが大切です。
@収容人数,A駐車場の有無,B使用時間の制限,C宗教上の制限,D棺を預かってもらえるかどうか,E宿泊施設の有無 F寝具の手配先,G通夜ぶるまいや精進落としのための施設の有無, H料金などの手配先など。また喪家で用意するものなども確認しておきます。
●公営施設を借りる場合,用具は葬儀社に依頼する
   マンションや団地などの集会場や公民館などの公共施設を葬儀に使用することもできますが,この場合は「場所」を借りるだけですから,葬儀に必要な用具は,葬儀社に頼まなければなりません。また通夜ぶるまいや精進落としなどに用いる食器の準備も必要でしょう。
●会場についたら供花や席順を決める
   葬儀会場を借りる場合は,棺とともに喪主をはじめ遺族,世話役,主だった人は移動します。また用具やその他の必要なものも移動させなければなりません。会場では,係員に従って下見をし,葬儀社の人と供花や弔問客の席順などを決めておきます。
●自宅には留守役をおく
   寺院や斎場を借りる場合は,近親者や近所の人にお願いして二,三人に自宅で留守を預かってもらいます。これは用心と留守中の電話や弔問客に応対をしてもらうためです,また玄関先には,会場への地図を記した忌中札を貼るようにします。