●断らずに引き受けるのが礼儀
遺族から頼まれたときは,よほどの事情がないかぎり引き受けるのが礼儀です。また弔辞の依頼はないけれど,どうしても弔辞を述べたいときは,その旨を喪家に伝えても非礼にはあたりません。ただ早い時期に申し出るようにします。押しつけにならないよう,喪家への配慮も忘れないようにしたいものです。
●ほかの人の弔辞と重複しないように気をつける
弔辞をほかに読む人がいる場合は,内容が重複しないように,また長さなども遺族とよく相談しておくとよいでしょう。一般に弔辞の長さは四〇〇字詰原稿用紙で三枚程度で,時間にして約三分ぐらいになります。
●個人的な内容は避ける
弔辞は,故人を送る惜別の言葉ですから,名文を考えようとするよりも,素直に自分の心の内を綴っていくとよいでしょう。ただし感傷的にならないように,そして個人的な内容は避けるようにします。故人の人柄,業績や思い出などを素直な言葉で表現します。「たびたび」や「かさねがさね」「迷う」「浮かばれない」などの言葉は使わないようにします。また,冥福などの仏教用語を他の宗教の葬儀で使わないよう注意しましょう。
●具体的なエピソードを入れて故人の人柄を語る
弔辞のポイントとして,次のようなことがあげられます。
@冒頭で哀悼の意を表す
A故人の人柄を語る具体的なエピソードを入れる
B遺族の深い悲しみにお悔やみを述べる
C冥福を祈る言葉で締めくくる
●巻紙あるいは奉書紙に薄墨で書く
弔辞は巻紙か奉書紙に薄墨で書くのが正式とされています。「弔辞」と表書きした上包みを左前にあわせて包みます。
●弔電文例
500 謹んで哀悼の意を表します。19字
501 ご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申しあげます。27字
502 ご逝去を悼み、ご冥福をお祈り申しあげます。28字
503 ご尊父様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申しあげます。34字
505 ご母堂様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申しあげます。34字
506 ご逝去の報に接し、心からお悔やみ申しあげます。30字
507 在りし日のお姿をしのび、心からご冥福をお祈り申しあげます。37字
508 ご生前のご功績をしのび、心からご冥福をお祈り申しあげます。39字
510 ご主人様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申しあげます。35字
511 ご令室様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申しあげます。35字
512 ご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申しあげますとともに、心よりご冥福をお祈りいたします。51字 |
●遅くとも十時ごろには終わらせる
以前は夜を徹して通夜を行っていましたが,最近では夜半まで行う「半通夜」が一般的になっています。
通常,午後七時頃から始めて九〜十時には終わるようにします。
●故人と血縁の農い人や関わりの深い人が祭壇近くに
通夜式では,祭壇に向かって右側に喪主,遺族,親族と,故人と血縁の濃い順に並びます。左側には,世話役代表,上司,先輩,同僚,友人,知人と,故人との関わりが深い人から前列に座りますが,厳密に分ける必要はなく,到着順に並べばよいでしょう。
ただ故人と親しい人ほど前列に座るのがエチケットですから,たとえ社会的地位が高い人でも故人との関わりが薄い人は,それなりの席に着くのがマナーです。 |