葬儀・告別式
−神式の心得は?
●神式は仏式とは違った用語を用いる
   仏式の「葬儀・告別式」という用語は,神式では「葬場祭・告別式」と言います。このように神式では仏式とは異なった言葉を用いますから注意が必要です。
   仏式で言う「冥福」や「成仏」,あるいは「供養」などという言葉は用いません。うっかり口をついて出てしまいますから気をつけましょう。
●葬場祭と告別式の区別がなくなっている
   神式でも仏式と同じように葬場祭と告別式の区別がなくなってきています。例えば,本来なら告別式で行う一般会葬者の玉串奉奠も,最近では葬場祭のなかに組み込まれ,遺族に続いて行うケースが多くなっています。
●各世話役は持ち場や用具などを確認する
   式の前に世話役が各持ち場を点検,確認することは仏式と同様ですが,とくに,神式だけの手水については,用具の脇に係を配し,手水の作法に戸惑っている人にそれとなく告げる心づかいをしたいものです。
●葬場祭の当日は式次第に配慮する
   神式は,式次第に弔問客が慣れていないことが多いですから,式次第を印刷するか,会場の入口に貼り出すようにすると,弔問客も心に留めておくことができます。
●葬場祭では次のような神式の用語と用員が用いられる
神饌 神様への供物のことで,稲や米,魚介,鳥獣,果物,野菜,酒,水,塩などが用いられます。
常饌 故人が生前に好きだった食べ物。
献饌 神様の前に供物を供えること。
幣帛 神様に捧げるもののすべての総称。葬場祭では,紅白の絹を一反ずつ,あるいは紅白の紙を串には     さんだものを用います。
修祓 身を清めることで,葬場祭では神職が,幣束を用いてお祓いをします。
斎主 葬場祭を司る神官のことで,随員と斎員と,楽を奏でる人を楽員あるいは伶人とも言います。
誄詞 誄歌とも言い,故人の生前の徳をたたえる歌。
−神式の式次第は?
●神式の葬儀では玉串奉奠を行う
@手水の儀
   身を清めてから会場に入る神道の儀式です。会場の入ロに用意されてある桶に入った水をひしゃくで汲み,手とロを清め,用意された懐紙でぬぐいます。
   最近ではこのような儀式も省略され,入ロに桶とひしゃくが置かれているだけという場合もあります。
A参列者着席
   席順は仏式と同じで,祭壇の右側に喪主や遺族,近親者が,左側に世話役代表,各世話役,友人,知人,会社関係者が座ります。
   喪主や遺族は,正式には神職者に続いて入場するのですが,最近では,式が始まる前に着席していることが多くなっています。
   一般参列者は,一般用に設けられた席に到着順に前から座ります。
B斎主,遺族入場
   式の開始時刻になりますと,係員に案内されて斎主,斎員,楽員,喪主,遺族が入場します。参列者一同は,頭を下げますが,椅子席の場合は起立して,畳敷の場合は座ったままでかまいません。
C開式の辞
   司会者が「ただいまより故○○○○殿の葬場祭をとり行います」と開式を告げます。
D修祓の儀・斎主一拝
   斎主が,会場,棺,供物,斎員や参列者の順次に祓い清めます。参列者は深く頭を下げてお祓いを受けます。次に斎主は,祭壇に向かって一拝します。参列者も斎主にならって深く礼をします。
D献饌・奉幣
   楽員が楽を奏でるなかで,斎員が三方に用意されている神饌や幣帛を供えます。参列者は静かにこれを見守っています。
F祭詞奏上
   仏式の引導渡しにあたるもので,故人の経歴や人柄,功績などを斎主が述べ,そうした故人が祖霊となって遺族を見守ってくれるように奏上します。
D誄詞奏上
   楽員によって,故人の霊を慰める楽が奏でられるなかで,斎員が故人の略歴を奏上します。参列者は静かに聞き,故人を偲びます。
H弔辞
   司会者によって,弔辞の朗読が告げられます。弔辞は二〜三名の人によって捧げられます。名前を呼ばれた人は祭壇の前で朗読し,終わると祭壇に供えます。
I弔電披露
   司会者によって弔電が披露されますが,仏式と同様に初めの二〜三の弔電は全文を読みますが,残りは省略することを断り差出人の名のみを読みあげます。
J玉串奉奠
   仏式の焼香にあたるもので,まず斎主が行い,祭壇のわきにひかえ,参列者に玉串を渡します。続いて喪主,遺族,近親者と故人と縁の深かった順に玉串を霊前に捧げます。一般会葬者は,席順に前から進み出て,玉串奉奠を行いますが,場合によっては,玉串奉奠は遺族や近親者のみで,一般の会葬者は祭壇の前で拝礼を行うだけということもあります。また,葬場祭と別に告別式を行うときは,一般会葬葬者は告別式で行います。
K撤幣・撤饌
   楽員が楽を奏でるなかで,斎主は,供えた神饌と幣帛を下げます。
L神職者退場
   斎主が霊前に向かって一拝します。このとき参列者一同も一拝します。神職者は退場しますが,一同は深く礼をして見送ります。
M閉式の辞
   司会者によって「これで○○○○殿の葬儀祭を終了いたします」と告げられます。一般会葬者は,出棺を待つために会場を出て門口で待ちます。
   なお,告別式を別に行うときは,このあと告別式となり,一般会葬者が玉串を奉奠します。