結婚のマナー

縁談を求めるとき

個人に頼むときにはだれにどうお願いすればいい?
●信頼できる人,自分を理解してくれる人に頼む
   縁談・見合いというプライベートなことをお願いするのですから,だれにでも頼めるというものではありません。本人と遠からぬ縁にあり,信頼できる人,その本人のためにひと肌ぬごうと思ってくれる人に頼むべきです。堅実な人生を送っている人物であることはいうまでもありません。
   一般的には,親戚,職場の上司,学校時代の恩師や先輩,親の知人,友人などが多いようですが,しかし挙式の媒酌人とは異なり,職場の上司など,あとで断りにくくなりそうな人には依頼しないほうが無難かもしれません。ある程度の社会的な信頼もあり,交際範囲が広いことが望まれますが,ただ義理で引き受けてもらうような場合,こちらの希望がはっきり伝えられなかったり,多忙のあまり話が進まなかったりしますから,単に社会的な地位が高いということだけで依頼するのは考えものです。
   紹介者の役割は,依頼する本人の考え方や結婚観を理解するところから始まります。その意味でも,本人と打ちとけて話ができるような人であることも大切です。若い人の考えを理解でき,他人の立場に立ってものを考えることができる人が望ましいでしょう。
   世話を引き受けてくれる人があれば,書類に書ききれなかったこと,たとえば親の扶養義務,家庭内の事情,身体的な障害など,一見,不利と思えることでも隠さず伝えておきましょう。
●縁談の依頼は本人自身が行く
   縁談をお願いするときは,親まかせにせずに,本人が出向いて,きちんとお願いするのが筋です。
   親まかせでは,本人の真剣さが疑われますし,本人より親の好みや意思が強まったり,縁談をまとめようとするあまり,本人の希望が正確に伝わらない場合もあります。ですから,書類に書けなかった自分の考えや,相手への希望をはっきり伝えて,紹介者がより正しく自分を理解してくれるよう努めます。
   お願いに行くときは,老舗のお菓子など改まったかたちの手みやげを持って伺うのが通常ですが,親戚やごく近しい間柄の人ならかたちや内容にこだわる必要はないでしょう。

見合い写真はどんなものかいい?
●改まった感じの装いで自分らしさが伝わる写真を
   お見合い成功のキーポイントの一つは,写真ともいわれます。相手に会ってみたいと思わせるために,きちんと整った服装の写真のほか,自分らしさが十分に伝えられるようなスナップ写真を二,三枚添えます。
   真正面のフォーマルな見合い写真は,かつては写真館で撮影したものです。お見合い写真は,女性は和服,とりわけ振袖姿でと考えている親も多いようですが,自分らしさが表れる服装なら和洋どちらでもかまいません。ただ,真っ赤,黒などの原色はなるべく避けて,清楚な色,デザインを選びましょう。男性はスーツにネクタイが一般的です。
   女性の場合,濃いメイクや個性の強いロ紅,パーティに行くようなヘアスタイルは避けたほうが無難です。シャドーもチークカラーもナチュラルに,健康的なイメージに。写真館の撮影では,必ずライトを使用しますから,ふだんノーメイクの人でも,薄化粧が必要です。素顔だと美しい陰影が出ませんので,暗く,平板な感じになってしまいます。
   スナップ写真は,日常的な雰囲気が出て表情がイキイキしている,笑顔の写真がいいでしょう。その場合,書類に書いた趣味やスポーツをしている写真なら,なおいっそう自分らしさが伝わります。一人で写っているものか,家族といっしょに写っているものを選びましょう。友人といっしょの写真は,比較されるので注意。何年か前の写真も避けましょう。写真の裏には必ず撮影年月日,住所,氏名を記入しておきます。

縁談を依頼する手紙の一例(女性から伯母へ)
   ようやく春めいて心地よい気候となりました。皆さま
お元気でいらっしゃいますか。
   さて,先日,伯母さまにちょっとお話しました私の結婚
のことですが,あれから父や母といろいろ相談しまして,
私自身,いま真剣に結婚について考えるようになりまし
た。
   六月で,私は二十五になります。入社して六年目です。
ご存知のように,私のいる職場は女性がほとんどで,ステ
キな男性とめぐり合えるチャンスがありません。
   それに,恋人を見つけたいと思っていても,私は臆病で
何も言えないし,どうしたらいいのかわからないのです。
きっとだれかの手をかりないと,男の人とめぐり合うこ
とも上手にできないように思います。
   たいへん勝手なお願いですけれど,お顔のひろい伯母
さまに良い相手をさがしていただけないかと筆をとった
次第です。伯母さまになら,なんでも正直に打ち明けられ
るし,甘えられます。適当な方をご存じでいらっしゃいま
したら,ぜひ,ご紹介いただきたいと思っています。
   とりあえず,必要な書類と写真,それにわたしの希望や
結婚に対する考え方などを簡単に記したものを同封しま
した。いずれ近いうちにお伺いさせていただき,ごあいさ
つしたいと思っていますが,そのときはあらかじめご連
絡を差しあげますのでよろしくお願いします。
   最後になりましたが,伯父さまにもくれぐれもよろし
くお伝えください。


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