結婚のマナー

婚約

−結納交換のすすめ方は?
@本人と親が一か所に集まる場合
   自宅以外に席を設けて,本人同士と親が出向き結納を行います。これは最近,もっとも人気が高い方法の一つ。とくに都会にこのケースが多く見られるのは,住宅事情や人手がその一因となっているように思われます。
   場所はホテルや料理屋の一室,レストランのほかに結婚式場や公民館の集会室などもあり,和室か洋室は好みで,予算や交通の便を考慮に入れて選びましょう。
   会場へは,なるべく男性側が先に着くようにし,上座に結納品を飾って女性側を待ちます。上座は和室なら床の間,洋室ならドアから遠い席のほうへサイドテーブルを用意し,できれば無地のきれいなテーブルクロスを掛けてもらいます。上座に向かって男性側は右,女性側は左,席順は上座から本人,父,母の順に並びます。
   結納は男性が贈った結納品を女性が受け取り,自分で目録を確かめてから同席の親にも見せて納めます。女性からも結納を贈る場合は同様にしますが,省略する場合は受書を出し,男性がこれを改めて婚約成立ということになります。この結納の方法は,本人同士の婚約という意味合いが強いので,二人が直接やりとりするのが望ましいでしょう。
A本人と親が女性宅へ赴く場合
   男性本人と親が女性宅へ結納を持参するこの方法も,多くみられるケースです。結婚の申し入れは男性から行うものとされていた地方では昔からこの結納の方法が多く,現在でも二人の実家が遠く離れているときや地味に行いたい場合などこの形で結納をすることが多いようです。もっとも,最近では女性側が男性宅へ出向くこともありますので,双方が一か所に集まる@と比べ,場所がどちらかの家になるだけの違いと考えればいいでしょう。
   迎える女性宅は玄関や座敷を掃除し,祝いごとにふさわしい花を生けて,和室なら床の間におめでたい図柄か字句の掛け軸を掛けます。床の間がない場合や狭い場合は緋もうせんなどを敷き結納品を飾る場所をつくればいいでしょう。洋室なら和室と同様に絵や飾りでお祝いの席らしく整え,中央にテーブルを置いて上座に結納品を飾るサイドテーブルや台を用意します。女性からの結納や記念品があるときは上座に飾っておきます。
   出迎えは女性側のきょうだいか親類に任せ,部屋へ案内してもらいます。適当な人がいなければ母親が出迎えを。玄関ではあいさつを交わさずに部屋へ通すのがしきたりです。部屋へ通された男性は持参した結納品を飾って席に着いて待ち,女性と親が入室してから口上を述べます。結納が無事納まれば,女性側は用意したもてなしの席に男性と親を案内します。
B仲人が立ち合って交換する場合
   一か所に本人と親,仲人が立ち合うこの方法は,@のケースに婚約の証人となる第三者が同席するという形で,より婚約式としての意味合いが強まったものです。
   このケースでの結納の方法は二通りあります。一つは本人同士が自主的に結納を取り交わし,仲人がそれを見届ける形式。もう一つは仲人の手を経て取り交わす形式です。いずれにしても準備から席に着くまでは前例@と同じで,席順は仲人が下座で上座に向かって座ります。
   本人同士が結納を行うときは,@の方法とほぼ同じでかまいません。仲人の役目は正式婚約の証人となることですから,その場に立ち合って見届けます。本人二人が揃って列席者にあいさつしたあと,仲人は証人承諾のあいさつを。結納品を交換して正式婚約が成立すれば,再び本人たちはお礼のあいさつをし,そのあとで仲人は祝いの言葉を述べます。最後に親から仲人へお礼を述べ祝い膳を囲み,仲人の乾杯の音頭で祝杯をあげます。
   仲人の手で行うときは,最初に本人同士から仲人へ依頼のあいさつをします。仲人は承諾のあいさつを述べたあと,男性からの結納を女性へ。続いて女性からの結納もしくは受書を男性に受け渡し,取り交わしが終わったら正式婚約成立のロ上を述べます。このあと,本人と親は仲人へお礼のあいさつをして,本人同士で結納を行う場合と同様,祝い膳につきます。
C本人と親,仲人が女性宅へ赴く場合
   このケースは,前例Aに仲人が加わった方法です。迎える女性宅では仲人の席を下座へつくり,女性側の仲人がいればその仲人が玄関で出迎え部屋へ案内します。
   また,結納の取り交わし方法は前例Bと同じく,本人同士が行って仲人は証人として立ち合うのみの場合と,仲人の手で結納品の取り交わしを行う場合があります。いずれも手順は前例Bと同じ要領で行います。
   正式婚約が成立すれば,仲人も交えて女性宅での祝い膳につきます。この際,仲人の音頭で乾杯し,二人を祝福すると同時に仲人の労をねぎらいましょう。
D本人と親,親戚も同席する場合
   かつては,本人と親のほかに仲人が立ち合い,親戚の代表者が同席するケースはもっとも多く見られました。とくに結納を取り交わしたあと,女性側で婿披露を行う習慣が残っている地方では,いまでもこの方法が多く行われているようです。

結納の口上(例)
●本人と親が同席する場合
二人「本日は私たちの婚約にあたり,ご列席いただきましてありがとうございます。これより結納の取り交わし(贈呈)をいたします」
   結納品(目録)を女性に向けて,
男性「婚約のしるしに結納をお贈りします。幾久しくお納めください」
女性「ありがとうございます。目録を拝見いたします」
   目録を確認したあと親にも見せて
女性「幾久しくお受けいたします」
   結納(目録)を上座に納めて受書を持参し,
女性「受書でございますので,お改めください」
男性「ごていねいにありがとうございます。拝見します」
   受書を確認して親に見せ,
男性「お受け取りいただきましてありがとうございます」
   女性からも結納を贈るときは,男性から贈られたあとで同じ手順で贈ります。この場合は,男女ともに受書を省くのが通例。
   (女性から記念品を贈る)
   女性からの袴料を省略し,記念品だけを贈ることが増えていますが,このときは受書を出したあと,
女性「婚約の記念に私からの贈り物です。どうかお納めください」
男性「ありがたく頂戴いたします」と受け取ります。
●本人と親,仲人が同席する場合
   (仲人の手で結納を取り交わす)
男性「本日は私どもの婚約に際し,お越しいただきありがとうございます。ここに結納を用意しましたので,交換の儀,よろしくお取り計らい願います」
女性「よろしくお願いいたします」
仲人「かしこまりました。このたびはご婚約おめでとうございます。仰せに従いまして,ふつつかですが私どもで結納の儀,執り行わせていただきます」
   男性の結納を受け取って女性の前へ置き,
仲人「○○様からのお結納でございます。幾久しくお納めください」
女性「ありがとうございます。目録を拝見させていただきます」
女性「○○様からのお結納,幾久しくお納めいたします。私からの結納を○○様へお取り次ぎ願います」
仲人「かしこまりました」
   女性からの結納を男性の前へ置き,
仲人「○○様からのお結納でございます。幾久しくお納めください」
男性「ありがとうございます。拝見します」
男性「幾久しくお納めいたします」
仲人「これにて,○○様と○○様のご婚約がめでたく相整いました。ご両人様,ご両親様,まことにおめでとうございます」
本人と親「お陰様を持ちまして婚約相整いました。ありがとうございました」
 


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