結婚のマナー

結婚式・披露宴(主催者)

−スピーチを頼まれたら?
●話はポイントを絞って三分以内に
   披露宴を盛り上げるかどうかは,スピーチの内容次第ともいえます。心を打つような内容を考えるためにも,スピーチを頼まれたら,どんな立場で話すのか,披露宴の主な顔ぶれと雰囲気,他に誰がスピーチするのかなど事前に確認しておきましょう。
   話は三分以内に要領よくまとめます。四百字詰め原稿用紙にして二枚半くらいが目安です。スピーチの構成は,@お祝いの言葉,A自己紹介,H主題,C励ましやお願い,D再度お祝いの言葉,が一般的。主題に入るときは,新郎新婦の人柄を象徴するようなエピソードを紹介します。ただし,話題を盛りだくさんにすると全体の印象が弱くなってしまいます。山場を一つ作るのがスピーチのコツです。
   また,むずかしい言い回しや美辞麗句は避けるべきです。立場を踏まえたうえで素直な気持ちで心をこめ,自分の言葉で話すようにしましょう。
●話すときは背筋を伸ばしてはっきりと
   当日あがらないためには,声に出してよく練習しておくことです。要点を箇条書きにしたメモを手にしてもかまいませんが,原稿の棒読みは避けましょう。
   話すときは背筋を伸ばし,会場全体をゆっくり見渡すと皆に語りかける感じが出ます。また自分ではゆっくりと話しているつもりでも,多少なりともあがっていると意外と早口になってしまうものです。「少しゆっくりすぎるかな」と思うくらいのスピードで話すように心がけます。

祝辞・スピーチのタブー集
◆別れを暗示させる言葉
   切る,切れる,終わる,こわれる,破る,破れる,別れる,離れる,逃げる,消える,去るなど。
◆安定のなさを連想させる言葉
   戻る,追う,追われる,帰る,返す,繰り返す,飽きる,出る,退く,閉じる,流れる,欠けるなど。
◆不幸をイメージさせる言葉
   涙,死ぬ,冷える,失う,滅びる,苦しい,薄い,浅い,嫌う,亡くなるなど。
◆重ね言葉
   重ねがさね,またまた,皆々さま,かえすがえす,たびたびなど。
   最近は,このような言葉を以前ほど気にする人は少なくなりましたが,それでも意識的に使うのは避け,「終わる」は「お開きにする」などと,ほかの言葉に言い換えるようにします。
   もしもうっかり使ってしまったときは,そのままさりげなく続けます。

−余興を頼まれたら?
●列席者全員がたのしめる,ほほえましいものを
   余興を頼まれたときは,できるだけ快く引き受けて,披露宴をたのしいものにしてあげましょう。祝福の心がこもっていれば,特別な芸などはできなくてもかまいません。ただし,一人で盛り上がってまわりをしらけさせるようなことは慎むべきです。また,準備に手間のかかるものや,あまり凝った演出のものは進行手順を狂わせることになりかねないので注意を。
   歌を歌うときは,ほかの出演者と同じ歌にならないよう前もって司会者に曲名を伝えておいたほうがいいでしょう。寸劇やバンド演奏など場所をとる余興の場合は,会場のスペースを確認しておきます。また,おめでたい席ということを念頭において,あまり品のない内容や場違いなものは避け,あくまでも出席者全員が快くたのしめるものにします。

−立場別の祝辞例
◆上司の祝辞例
…正直申しまして,順子さんから結婚することを告げられたとき,私はドキッといたしました。仕事のできる明朗快活な女性で,将来有望な管理職候補として以前から注目いたしておりましただけに,もし退職されたら…と内心危倶したのです。しかし結婚後も仕事を続けられるということで,安心しました。家庭と仕事との両立は大変でしょうが,順子さんならきっと素晴らしい家庭を築かれると思います。新郎の渡辺さん,順子さんが仕事で疲れたときはやさしく支えてあげてください…
◆友人の祝辞例
…ご存じの方も多いと思いますが,弘君はとても料理が上手で,私も合宿のときなど学生時代からずいぶんごちそうになったものです。これからは,洋子さんに食べていただくのですから,弘君の料理もますます腕に磨きがかかるのではないでしょうか。どうかたまには私も仲間に入れてください。どうぞお幸せに…
◆再婚のときの祝辞例
…先ほどご媒酌人からご紹介されましたとおり,田中君は三年前に奥様に先出たれ,男手ひとつで二人のお子様を育ててこられました。周囲からは,そろそろどなたか探されてはどうかと何度か声をかけたのですが,田中君は首を縦に振ってくれませんでした。そんな田中君を陰で支えてくださっていたのが,同僚の友子さんだとうかがっております…


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